「しゅくだいにっき」を書き出した息子にライターの私ができること

こんにちは。2018年の春にそれまで勤務していた会社を退職し、フリーランスのライターとして開業したMAYです。(より詳細な自己紹介はこちらから)
「ライターです」と名乗ると、ほとんどの方に「すごいですね、私は文才がないから」と言われます。
ライターを始めて間もない頃は、「ライター」という肩書に込められた「文才」のようなものに気後れしてしまい、自らライターを名乗るのが恥ずかしかったものです。
しかし、書くことを生業にしてかれこれ3年。これまで書いてきた経験が実績となり、自分の一部として形成されつつあるからなのか、最近ではライターと名乗ることにも照れくささを感じなくなってきました。
かと言って、「文章がうまくなった」とか「自分は文才あるなぁ」とはやっぱり思えなくて、「自分は相変わらず文章が下手だな」と思いながら日々文章を綴っているわけです。
そんな中、小学1年生になった我が家の長男が、毎週金曜日に学校から「しゅくだいにっき」を持ち帰ってくるようになりました。母親として、そしてライターのはしくれとして、息子の宿題に付き合ってみることにしました。文章を書くのは大人にとっても子供にとっても難しいことですよね。息子には、上手じゃなくても作文を「好き」になってもらいたい…そんな思いで取り組んだ、私の「作文育」について書いていきます。
小学生の作文の悩み①「原稿用紙が埋まらない」
小学1年生の息子は、夏休みが終わった頃に初めて「しゅくだいにっき」を持ち帰ってきました。それまで日記を書いたことはなかったので心配していましたが、毎回スラスラ書いているようなので、「なーんだ、親の出る幕はないか」と思っていました。
しかし、返却された日記を見せてもらったところ、なんと毎回二行くらいで終わっているではありませんか。先生からは「その時どう思ったの?」など、もっと具体的な説明を求めるようなコメントが。しかし本人にはあまり届いていないようで、毎回ささっと終わらせてしまい、なかなか原稿用紙を埋めることができませんでした。
そこで、思い切って私も一緒に「しゅくだいにっき」に取り組んでみることに。一緒にと言っても、親子で別々の原稿用紙を用意し、思い思いに書くだけです。私が一緒に書いていると、負けず嫌いの息子の競争心をかき立てるのか、息子も原稿用紙がいっぱいになるまで筆を置こうとしませんでした。
なお、日記を書いている間、私の書いている内容は息子には見せないようにしました。人の文章が少しでも目に入ると、無意識にもその文章を真似してしまうものです。お互い自分の文章に集中し、書き終えた後は見せ合いました。
小学生の作文の悩み②「書きたいことが見つからない」
「何を書いてよいかわからない」「なかなか書き出せない」という悩みを持つ子供も多いのではないでしょうか。我が家の息子もどこかにお出かけした週末はすぐに日記に取りかかることができましたが、そうではない日はなかなか宿題に取りかかろうとしていませんでした。「日記に書きたいからお出かけしよう」と言われることもありました。
普段の生活の中でも日記に適したテーマはあります。多くの人にとって書きやすいテーマは「食事」です。食事は視覚や味覚、触覚など、五感を使って味わうものなので、さまざまな感想が浮かびやすいのです。それに加え、食事を通して季節感を感じることもできます。作文や日記のテーマに悩んでいる場合、食事はおすすめのテーマです。
小学生の作文の悩み➂「句読点や誤字脱字が多い」
小学生の作文なので、書き間違いが多いのは仕方がないことです。息子は、まだ平仮名を書き始めたばかりなので、「お」と「を」や「え」と「へ」などの違いがわからなかったり、「。」と「、」を打つ場所を間違えてしまったりということは、日常茶飯事でした。
そういった書き間違いを正そうとしても、子供にとっては面倒なことです。どうしても修正した方が良い間違いを見つけた際、私は間違いを指摘した後、消しゴムで消すという作業を手伝ってあげるようにしました。
書き直すだけなら、息子も面倒がらずに修正してくれるようになり、少しずつ書き間違いも減ってきました。
子供を作文嫌いにさせないためにママライターが気を付けたこと
さて、ここまでは子供が作文を書き出すためのサポート方法をご紹介しましたが、次に紹介するのは子供を「作文嫌いにさせない」ためのコツです。
文章の内容についてアドバイスや評価をしない
作文は一朝一夕で上達するものではありません。まして相手は小学生です。作文が上手かどうかなんて期待せず、最初はおおらかな気持ちで見てあげるのが良いのかなと私は思います。
それでも、子供の作文を読んで「こうしたらもっと良い文章になるのに」とアドバイスしたくなる方もいるかもしれません。そんな方は、ぜひ子供の立場になってみて下さい。もし自分が一生懸命書いた作文を親に見せた途端、「こうしたら」「ああしたら」と言われたらどういう気持ちになるでしょうか?親に作文を見せたくなくなるでしょうし、作文自体を書きたくなくなってしまうかもしれません。内容についてのアドバイスは、子供がしっかりと文章力をつけてからでも遅くないでしょう。
何か一つ、具体的なことを褒める
息子が作文を見せてくれたら、私は必ず最初に褒めるようにしています。誰でも褒められたらうれしいですよね。褒められたら、「また次も頑張ろう」という気持ちが湧いてくるものです。
そして、褒める際、ただ単に「上手に書けたね」と言うのではなく、具体的な褒め方をするようにしています。説明が上手だとか、言葉の選び方が上手だとか、そういったことです。なにを褒めれば良いか悩んでしまうこともありますが、文字が上手に書けているとか、原稿用紙いっぱいに書けたとか、どうにか褒めるポイントを見つけます。
この「褒める」というコツの背景には、私のライターとしての実体験があります。私はこれまで、さまざまなウェブメディアでコラムを書いてきましたが、どのメディアでも編集者の方は皆褒め上手なのです。そして、自分の感想と共に「この部分がとくによかった」と具体的に褒めてくれます。そんな褒め上手な編集者さんに、もっと喜んでもらいたいという気持ちが、次の文章へのモチベーションにもなりますし、逆に褒められなかった部分はどう改善すれば良いかということも前向きに考えるようになりました。
参考になる書籍
自己流で始めた息子の作文サポートですが、今年に入ってから書籍を読みながら勉強しています。私が参考になったと感じる書籍をご紹介します。
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↑こちらは小説の書き方となっていますが、文章の書き方として説得力のある説明が多く、また、人気作家によるハウツー本なので、読み物としても面白いのでおすすめです。
子供の作文のサポートには、苦手意識の克服が一番!ぜひ親子で試してみて
今回ご紹介したような方法で、息子の「しゅくだいにっき」に付き合って、半年が経過しました。今のところ息子は「しゅくだいにっき」を嫌いにはなっていないようです。文章を書くことに慣れてきて、長文にも挑戦できるようになってきた頃に、少しずつ内容に関するアドバイスもしていきたいなと考えています。
一度苦手意識を持ってしまうと、作文を書くこと自体がとても高いハードルになってしまいます。どんな文章でも良いから「とりあえず書いてみる」というスタンスで、子供の作文をサポートしてみてはいかがでしょうか。
現役ライターによる「ライター哲学」。こちらの記事もぜひ。