読書感想文がすらすら書けるようになる!?ライターが教える書き方のコツ

こんにちは。2018年の春にそれまで勤務していた会社を退職し、フリーランスのライターとして開業したMAYです。
夏休みや冬休みの宿題の中でも特に多くの子供たちが苦手意識を持つのが読書感想文。また読書の秋には、学校内だけでなく塾などの課外学習の場でも読書感想文の指導に力を入れて取り組む地域もあるようです。本を読む事は本来楽しくて知的好奇心を刺激するもの。しかし、「感想文、嫌だな」と思いながら読むと、なんだか読書自体が退屈で難しいものになってしまう可能性もありますよね。
私は本の専門家ではありませんが、ウェブメディアの記事も読書感想文も「ものを書く」という点では通じるところがあります。書く事はある種のテクニック。今回は、ウェブライターの視点から文章の書き方のコツについて解説してみたいと思います。
読書感想文に取り掛かる前に
読書感想文に対して、苦手意識を持っている方に多いのが「なんとなく嫌だな」というもの。まずは自分がどんなところに悩みを感じているのか、具体的に考えてみましょう。苦手なことが分かるということは、苦手でないことも分かるということ。苦手ではない事から始めてみると、案外すんなりスタートラインに立つことができますよ。
- どんな本を読めばよいのかわからない→推薦図書などを参考にしてみては?
- とにかく読むのが苦手→短い本から始めてみては?
- とにかく書くのが苦手→まずは読んでみては?
- 何を書けばよいのかわからない(自分の感想がわからない)→心に響いていない可能性も。別の本を読んでみるという手も
- 気持ちをうまく言葉に表現できない→気持ちに確信を持つことができるまで何度も読んでみるという手も
読書感想文の書き方に悩んだら、まず明確にしたい三つのポイント
本を読んで感想を書くというのは、実に難しい事です。子供たちが悩むのも当然です。なぜなら、本来、読書というのは自分で本を読んで、それだけで完結することだからです。本を読むたびに感想文を書く人はいませんよね。自分の感想をわざわざ文章に起こして読書感想文として発表するのは、「誰かに伝えたい」という気持ちからくる行動なのです。
宿題として「読書感想文を書く」というのが目的になってしまうのは本末転倒です。まずは読書感想文に対しての向き合い方から見つめなおしてみましょう。
①誰に向けて書くのか?読書感想文のターゲットを決めましょう!
読書感想文は誰に向けて書くのでしょうか?「宿題を出した先生」という答えが返ってきそうですね。そうではなく、自分が書いた読書感想文を読む対象者を明確にさせてみましょう。
本を読んだ直後に「この本について(その内容や感動を)誰に伝えたいか」を直観で考えてみてください。特に理由はいりません。パパやママでも良いですし、おじいちゃんやおばあちゃんを思い浮かべても良いですね。身近な人ではなく、著名人や漫画の主人公でも大丈夫。とにかく、特定の誰かを決めてみましょう。どうしても思いつかない場合は、親友や兄弟、いとこなど、自分と親しくて立場が似ている人を選ぶと良いですよ。
そのターゲットの人を思い浮かべながら感想文を書くと、少し書きやすくなってきませんか?誰かに「こんなところが面白かったよ」「こんなことが書いてあって驚いたよ」と語りかけるようなイメージで書いてみましょう。
②何のために書くのか?読書感想文を書く理由を考えてみましょう
読書感想文のターゲットが決まったら、次は「なぜその人にこの本の感動を伝えたいのか」を考えてみましょう。直観ですぐに思いつく子もいるでしょうし、ここで少し時間がかかってしまう子もいるかもしれません。しかし、ここをしっかりと考える事はとても重要なので、時間がかかっても大丈夫です。一生懸命考えてみましょう。
「面白い本だから、自分の親しい友達とも面白さを共有したい」というのは、とても良い理由です。面白い本を他人に勧めてその楽しさを分かち合いたいというのは、読書の楽しみを広げてくれる発想です。
「この本には、〇〇さん(ターゲット)が悩んでいる事に対しての解決策が載っていると感じたから」というのも良いですね。世の中には育児本やビジネス本などのハウツー本がたくさんあります。明確な答えのない疑問や悩みに対して本から様々な考え方を学ぶというのは、とても役に立つ考え方です。
どんな些細な理由でも良いので、自分がなぜこの本の内容や感動を他人に伝えたいのかという事を突き詰めて考えてみましょう。
➂何を伝えたいのか?読書感想文の核となるテーマを決めましょう
誰に何のために書くのかが決まったら、最後に「何を伝えたいのか」を決めましょう。②の「何のために書くのか」がはっきりとしていれば、ここはすんなりと決まりますよ。
「面白い本だから、自分の親しい友達とも面白さを共有したい」というのであれば、伝えたいのは「この本の面白いところ」ですよね。それに加えて、この本がどれだけ面白いかという事も書けますね。
悩みの解決策について書く場合は、まさにその解決策がテーマになりますよね。本の主人公がある悩みに対してどう解決したのか、またその解決策のすごいところなど、様々な観点でテーマ設定することができるでしょう。
この➂の部分が決まれば、いよいよ読書感想文を書くためのスタートラインに立てたことになります。①と②は➂を導き出すためのもので、読書感想文自体は➂をテーマとして書き進めていきます。ここまで決まったらもう読書感想文の8割は出来たと言っても過言ではありません!まだ原稿用紙は真っ白だと思いますが、「よく頑張った」と一息休憩しても良いですね。
頭の中の「考え」や「思い」を文章に落とし込むコツ
さて、テーマは決まりましたが、それだけではまだ感想文は書けない子もいるでしょう。
ライターとして仕事をしていても、文章がスラスラ書ける時もありますし、全く筆が進まないという時もあります。文章を書くというのは時に難しく面倒に感じる事もありますが、いくつかのポイントを押さえれば、少しは楽に文章が書けるようになります。私が実践している、楽に文章を書くための五つのコツをご紹介します。
①書くのは朝がおすすめ。時間を決めて取り組みます
書くというのはとても頭を使う作業です。疲れた頭では、なかなか作業が進まず、進まない事がストレスになってさらに頭が働かない…というように悪循環に陥ってしまう事もあります。
フレッシュな気持ちで取り組むためには、なんといっても朝がおすすめです。たっぷり睡眠をとった後の頭は、集中力とひらめき力に満ち溢れています。朝起きるのが苦手な方は、朝食をとった後の午前中でも大丈夫です。自分が一番集中できる時間を探してみましょう。
しかし、絶対朝でなければならないかというと、そうではありません。「筆が乗る」という言葉がありますが、何かの拍子に文章の神様が下りて来ることもあります。時間に関わらず書きたいと思った時に書くというのも大切なポイントです。
そして、時間を決めて取り組む事も大事です。いくら調子のよい時でも、何時間も文章と向き合っていては集中力が切れてしまいます。1時間など時間を決めて、休憩や他の事で気分転換しながら取り組んでみましょう。
②無駄な事でも良いので、とにかくたくさん書くこと
原稿用紙は出来るだけたくさん用意しましょう。たった一度で完璧な文章を書く事ができる人はいません。書けば書くほど、自分の満足のいくものが出来ていきます。最初は推敲せずに、とにかく一心不乱に書く事を続けてみましょう。
書いているうちに想定していた方向性から外れてしまう事もあります。勢いというのは不思議なもので、「こういうことを書こう」と思っていても、書いているうちに筆が勝手に進んでいってしまうというはよくある話です。そんな時も、方向性が違うからと書く事を辞めずに、とりあえず筆を進めてみましょう。
同じ内容の文章や同じ感想について何パターンも書いてみても良いです。文章のまとまりや構成などは後で。まずは思いついた言葉をどんどん並べていきましょう。
できれば既定の文字数の2~3倍くらいのボリュームを書いてみましょう。そこまで書いたところで、ようやく自分の文章を振り返りながら推敲を始めます。読んでみて初めて自分の考えに気づくという事もあります。どこをどう削るかという観点で、作文全体の構成をまとめていきます。
➂気分転換には「歩く」のがおすすめ。足裏の刺激がひらめきを促してくれます
なかなか筆が進まない時は、ゲームやテレビ等ではなく体を動かす事で気分転換してみましょう。
特におすすめなのは散歩です。ただ歩くだけ?と思われがちですが、歩いているとそれまで思いつかなかった言葉やアイデアがひらめくことが多いのです。遠くの景色を眺める事によって、目の疲れも和らぎます。のんびりと家の周りを歩いてみたり、ちょっとコンビニまでお使いに出かけてみたりすると良いですよ。
④言葉選びに迷ったら、「上手い文章」ではなく「好きな文章」を選びます
読書感想文に関わらず、人前で文章を発表するのならできるだけ「上手に」書きたいと思うのは自然な事です。しかし「上手な」文章というのは、往々にして「つまらない」ものです。「うまい事言った」というのは自己満足。上手な文章を書こうと思って書くと、大抵は薄っぺらい上辺だけの言葉になってしまいます。本当に味のある素敵な文章というのは、実は上手なのではなく、「その人の本心から出てきた言葉」なのだと私は思います。
そのためには、自分が好きだと思う言葉や文章を選んでみましょう。自分の気持ちにぴったりとくる言葉を選ぶことは難しいですが、好きか嫌いかで判断していくのは簡単ではないでしょうか。好きな言葉は、つまり今の自分の気持ちに近い言葉です。好きな言葉をたくさん並べていくと、それが自分らしい個性的な文章になっていきますよ。
⑤自分と「似ている」点を探します
読書感想文は、自分の実体験を語る場ではないのですが、実体験を通して登場人物に共感することができます。登場人物の境遇や行動、起きた出来事などの中で、自分が体験したことのある事はないでしょうか?自分と似ていると感じた点があれば、自分の体験を思い出しながら、登場人物に共感し、想像を膨らませてみましょう。
書き手の実体験の含まれた文章というのは、読んでいてとても説得力があります。また、登場人物と書き手が共感することによって、文章が立体的になり、読み手にも伝わりやすくなります。
頼りになる小道具、ポストイットを有効活用してみよう
ここまでは読書感想文との向き合い方や文章の書き方のコツについてまとめてきました。最後に、いざ読書感想文を書こうと思った時にぜひ試していただきたいポストイットの活用方法をご紹介します。
本を読み返すためのマークとして
一度の読書で本を完璧に理解することはできません。何度も読んでいくうちに、内容の理解が深まり、ジワジワと感動するものです。しかし、何度も読むのは面倒だという子も多いと思います。夏休みが終わりそうな段階で、とにかく時間がないという子もいるかもしれません。最初はしっかりと集中できるけれど、最後の方になると集中力が途切れてしまうという場合もあるでしょう。
時間がある子もない子も、小さな付箋タイプのカラフルなポストイットを使って「ポイント読み」をしてみましょう。(三色以上用意してください。)
- 本を読み進めながら、印象に残ったページにポストイットを貼っていきます。
- 最後まで読み終わったら、ポストイットの貼ってあるページだけをもう一度読みます。
- ポストイットの貼ってあるページの中でも、特に印象的なページに別の色のポストイットを貼ります。
- ポストイット(特に二色目のポストイット)の貼ってあるページの中にある「この言葉が印象的だ」と感じるようなキーワードを探します。
- そのキーワードを探しながら、最後にもう一度最初から読みます。そして、キーワードがあるページには三色目のポストイットを貼っていきます。
- 三色目のポストイットが貼ってあるページを読み返します。
ちょっと手間がかかりますが、こうやって何かを探しながら断片的に本を読んでみると、本全体の枠組みが見えてきたり、自分が何を感じ取っているのかという事がはっきりとしてくることが多いです。
言葉を書くためのとっかかりとして
目の前に原稿用紙があると、上手い文章を書かなければという気持ちになりがちです。いくら「なんでも良いから書いてみよう」と言っても、なかなか筆を進める事ができない子もいると思います。
そんな時は、正方形型のメモタイプのポストイットを活用してみましょう。ポストイットに書けるのは、多くても十数文字。あまり気負う事なく「書く」という作業をスタートさせることができます。ポストイットには、まずは以下のような言葉を書いてみましょう。
- 本のタイトル
- 本の作者
- 読書感想文のターゲット
- 読書感想文の目的
- 読書感想文のテーマ(何を書くのか)
- 心に残っている言葉
- 面白かった場面
- 好きな登場人物の名前
- 印象的な出来事
- 連想した自分の体験
それらをテーブルに並べているうちに、自然と言葉と言葉が繋がって文章になったり、自分が書きたいと思う文章の筋道が見えてきたりします。また、上記のような言葉以外にも、そこから連想する言葉や自分の感じたことなどをどんどん書いていきます。そのうち、ちょっとした感想文のような形にまとまってくることでしょう。とりあえず筆を握るためのきっかけとしてもおすすめです。
推敲のお助けアイテムとして
原稿用紙で文章を推敲する際にもメモタイプのポストイットが使えますよ。自分が書いた文章に対して、率直な感想やひらめいた言葉、修正したい言葉などをポストイットに書いて貼っていってみましょう。
パパやママの感想を書いて貼ってあげても良いですね。ちょっとしたアドバイスや「この文章好き!」という褒めコメントも嬉しいと思います。
やってみたら意外と簡単だった!?この機会に読書感想文を克服しよう
読書感想文は宿題の中でも後回しにしがちな課題です。パパやママも、どうやってサポートしたら良いのかわからず「とにかく早く書きなさい」なんて言っていませんか?(私も親にそう言われ続けてきました。笑)
目的もなく書くというのはとても難しい事です。しかし、自分の中に書くためのモチベーションを見つける事ができたら、案外スラスラと書けてしまう場合もあります。また、コツをつかめば楽に書く事もできます。
一度書くことが楽しくなったらこっちのもの。今回ご紹介したような方法を試しつつ、たくさん書く経験を重ねると、より満足度の高い文章を書けるようになります。この夏、読書感想文を克服して、作文やスピーチもスラスラ書けるようになったら素敵ですね。